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2023.01.18カテゴリー:著者:大澤淳一

伴走型 生き方支援

障がい者観

 「障がい者観」とは、「障がいのある人をどのように捉え理解するか」その考え方を示したものです。その障がい者観について理解することは、就労支援においても重要です。なぜかというと、就労支援の基礎理論である職業リハビリテーションカウンセリングの土台に、昨今の障がい者観が反映されているからです。つまり、障がい者観を取り違えると、適切な就労支援を行うことができないということになります。そういう意味で、WHOのICF(国際生活機能分類)の登場と考え方について、正しく理解することは最も重要です。ICFの登場は、これまでの障がい者観を大きく変えるビッグインパクトをもたらしました。

ICIDHからICFへ

 これまで長く採用されてきたICIDH(国際障害分類)では、障がいを個人の疾病や障がいに紐づける「医学モデル」として捉える考え方で、それまではこの考え方が主流でした。しかし、ICF(国際生活機能分類)の登場により、障がいを個人と環境の相互作用の中で理解し、ご本人の活動や参加の状態を最も重視する「社会モデル」の考え方へと変遷を遂げました。

 従来のICIDH的な医学モデルでは、障がいは個人の疾病や個人因子に紐づくため、その根治を目指す治療やリハビリテーション、身辺自立がその克服に必要なことだという前提がありました。しかし、ICF的な社会モデルでは、障がいの種類や程度に関係なく、支援を含む「環境」との「個人」との相互作用において障がいを理解し、結果として、どの程度活動や参加の適応状況があるかどうかによって、障がいというものを整理して考えることに特徴があります。つまり、「一人で身辺整理できるかどうか」よりも、「自己選択・自己決定に基づき、必要な支援を受けながらQOLの高い生活を送ることができるかどうか」を重視するということを意味します。

生き方支援

 このような障がい者観の変遷を適切に理解することが支援者には求められます。それは、「障がい」それ自体というよりは、障がいから派生する「生きづらさ」を捉えることと言い換えることができるかもしれません。そういった生きづらさに対して、生きがいや満足感、ウェルビーングやQOLの向上といった視点でアプローチをすることが大切となります。そういう意味で、私たちの仕事の本質は、より良い人生、生き方を志向する人の人生に伴走する「生き方支援」であると言えるでしょう。

<参考/引用文献>

・松為信雄「キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング」,ジアース教育新社,2021

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大澤淳一

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