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2022.11.17カテゴリー：著者：大澤淳一

トライフル3つの武器

支援における理論的枠組み

　トライフルは、①就労や自立生活を希望する、②障がいのある方(グレーゾーンの方も含む)を対象とした、③就労支援機関です。「支援」を提供するため、職員は日々、研鑽に努めています。特に、こういった対人支援サービスでは、「専門性」が重要です。今回は、私たちが特に大切にしている3つの柱(専門分野)について、簡単にご紹介します。

①たすくメソッド

　まずは「たすくメソッド」です。私たちは「たすくグループ」に所属していますので、たすくメソッドと言われる支援の枠組みについて、精通しています。たすくメソッドとは、弊社代表の齊藤宇開が、国立特別支援教育総合研究所で進めていた研究に基づき、プログラムとして体系化したものになります。(詳細は「自閉症教育実践マスターブック」を参照ください。)関係者が一堂に会したアセスメントを実施し、①環境調整、②特性の理解と活用、③学習を支える学び、④機能的な目標(教育プログラム)、⑤支援技術といった枠組みで整理することで、その方の理解を深めることに主眼を置いています。「検査をしないで手術する医者はいない」といったスローガンを掲げるくらい、アセスメントを重要視しており、アセスメントに基づく療育・教育・支援にこだわった方法論となります。トライフルでもそういった支援方法に精通した支援者が複数在籍しています。

②職業リハビリテーションカウンセリング

　次に「職業リハビリテーションカウンセリング」です。これは、神奈川県立保健福祉大学の名誉教授である松井信雄先生が、「キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング」という書籍の中で体系化している方法論です。私たちは、松為先生の主宰するRehab-C塾の一期生となり、約半年間みっちりと学んできました。職業リハビリテーションカウンセリングは、①働くことの意味、②職業リハビリテーションに関わる概念、③職業リハビリテーションの定義と支援のあり方、④キャリアに関する理論、⑤カウンセリングに関する理論といった理論的基盤に持ちながら、個別支援の実際・環境調整の実際と、個人に紐づく要因だけでなく、個人を取り巻く周囲の環境にもアプローチしながら、支援を組み立てることに特徴があります。(詳細は「キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング」を参照ください。)トライフルでは、こういった理論的な基盤を参考に、インテーク、アセスメント、個別のカウンセリング、ポートフォリオの作成、インターンシップ機会の提供、振り返り、就職活動支援、職場適応支援、就労定着など、支援プログラムを構成しています。

③ソーシャルワーク

　最後に「ソーシャルワーク」です。トライフルは、単なる「就職活動支援」ではなく、メンバーの方が長期的にQOLを高め、高いウェルビーングを得るために、「ソーシャルワーク」を重視しています。つまり、17:00-9:00の勤務時間以外の支援を、ソーシャルワークの知見を活かしながら行なっているということです。実際、成人期の支援では、ソーシャルワーカーが生活支援の中軸となっていることに気がつきました。なので、現在、トライフルスタッフは社会福祉士の養成講座に通い、研鑽を重ねることを始めています。直接、就労支援とは関係がないことではありますが、そういった必要なことを吸収し、すぐにトライフルの支援に反映させて、より厚みのある支援に努めています。

科学的な理論や枠組みに基づいてトータルな支援を実行する

　このようにトライフルでは、①たすくメソッド、②職業リハビリテーションカウンセリング、③ソーシャルワークといった、理論的基盤や具体的な方法論を用いて行うことに努めています。もちろん、私たちも発展途上でありますので、まだまだ未熟なところはありますが、こういった枠組みをしっかりと持ちながら、日々のPCDAを回し、できる限りエビデンスに基づくアプローチを心がけています。日々勉強して、向上する姿勢を謙虚に持ち続けます。

　このように、ある特定の専門分野に関わらず、3つの代表的な理論的枠組みと、アセスメントを通したトータルなアプローチを個別に行なっているところが、トライフルと同業他社との一番の違いだと考えています。

参考文献

・自閉症教育実践マスターブック

・キャリア支援に基づく職業リハビリテーションカウンセリング