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2023.07.24カテゴリー:
学習の基本構造〜年齢相応に必要な力をつけるための土台づくり〜
こんにちは。たすく横浜教室の鹿島真知子です。
もう、子どもたちは夏休みに入りましたね。
早速「朝ごはんを作りました」という動画を送ってくれる子がいました。
いつもより時間に追われることが少ない夏休みならではの生活を充実させていて、素敵だな〜と嬉しくなりました。
夏休みになる前のある日、小学校の授業を拝見する機会を持ちました。
今回は、そのとき学校での学びについて考えたことをお話しします。
学校は、学習指導要領に則って子どもの学ぶ権利を守る場です。
それゆえ、文字が読める、書ける、計算できる、などの学習内容に注目し、先生たちは工夫を凝らして授業を構成します。
しかし、能力があるにも関わらず、学習内容が入って来ないお子さんもちらほら見受けられます。
集中できない
話を聞けない
じっとしていられない
場をわきまえず思ったことを口にしてしまう
私が教員をしていた頃は、毎年クラスに一定の割合以上いた子どもたちです。
もう、10年以上前のことではありますが、今もあまり変わらないのかもしれません。
やる気があればできるのに。
やる気がないんだよね・・・
こんな風に捉えられることが多い彼ら。
この子たちの状況をどう解釈するかにより、次の一歩が変わります。
実は、年齢相応に必要な力をつけるためには、ただ「頑張って勉強する」だけではうまく行きません。
学習の基本構造の4つの段階を丁寧に確認していく必要があると考えます。
①環境調整・構造化
一番最初に確認すべきは、学習環境です。
子どもたちにとって、活動や時間の見通しが立ちやすい工夫がされているでしょうか。
終わりが見えないと集中できないお子さんは少なくありません。
また、作業環境は整備されているでしょうか。
学習を進めるためには、必要なものがすぐ使え、必要ないものは手元に置かないことが大切です。
机や椅子が体に合っているか吟味することも大切です。
これら「環境調整・構造化」は、困難がある子だけのためではなく、すべての子どもたちにとって有効なユニバーサルデザインだと考えています。
②脳科学に基づく一人一人の理解
環境が整った上で、次は、認知特性を理解することが大切です。
認知特性を「才能」「個性」と捉え、学習スタイルに活用することが求められます。
子どもたちの理解が進むと、学級経営がうまく行きます。
③意欲・主体性
たすくでは、国立特別支援教育総合研究所で代表(齊藤宇開)が共同開発したJ☆sKeps™という指標を活用しています。これは、学習活動が成立するための前提となる活動を7つのポイントに分けて評価するものです。
⑴自ら学習する態勢になる力
⑵自ら指示に応じる、指示を理解できる力
⑶自ら自己を管理する、調整する力
⑷自ら楽しいことや嬉しいことを期待して活動に向かう力
⑸自ら何かを伝えようとする意欲と個に応じた形態を用いて表出する力
⑹自ら模倣して、気づいたり学んだりする力
⑺自ら課題解決のために注視すべき刺激に注目できる力
これらの力を育むことで、個別に指導を受けなくても集団のさまざまな場面で自ら学ぶことができるようになります。
先日の学校訪問で、支援級の役割は、このJ☆sKeps™を伸ばすことだと感じました。
一対一で教えればできるのに、集団では学習に身が入らない子どもたちは、まさにこのJ☆sKeps™に課題があると言えるでしょう。
J☆sKeps™を伸ばすことで、集団での学びが可能になるのです。
④本人の希望、社会生活で年齢相応に必要な力
まさに、これが学習指導要領にある学習内容だと考えます。
①〜③が整った上で、④の力をつけることができるというのが、「学習の基本構造」です。
学校教育において、学習内容ばかりに目を向けて「頑張れ」と声援を送っても、苦しいばかりのとき、
この「学習の基本構造」に目を向けてみると改善策が見つかるかもしれません。
「学ぶ権利」の「学ぶ」とは、学習内容を頭に入れることだけを指すのではなく、自ら学ぶ力をつけることだと考えます。
そして、支援級は、一対一で対応してもらう場だと考えられがちですが、
一人一人に自ら学ぶ力をつける場だと改めて感じました。
現場にいた時は、毎日の出来事に対応するので精一杯だったことを思い出しつつ、
一生懸命に子どもたちと向き合っている若き先生に思いを伝え、学校訪問を終えました。
- タグ:
個性を理解して、才能を伸ばす
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