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たすく代表日記
2018.07.23カテゴリー:未分類
放課後等デイサービスの改善案(まとめ)【たすく代表ブログ】
○障がいのある子どもの放課後は、長い間の課題だった。放課後等デイサービスの普及を後退させてはならない。
○放課後を「遊び」や「託児」程度に考えるのは、福祉の思想に反する。
○学齢期におけるサービスなのだから、「基本的人格の完成」に準ずることが大切である(下記「教育基本法第一条」)。
○放課後等デイサービスのスタッフが決して「専門性」が劣ることを認めてはならない。
○障がいに垣根はないから、重度心身障がい児、医療的ケア児支援も積極的に行う。
○放課後を「遊び」や「託児」程度に考えるのは、福祉の思想に反する。
○学齢期におけるサービスなのだから、「基本的人格の完成」に準ずることが大切である(下記「教育基本法第一条」)。
○放課後等デイサービスのスタッフが決して「専門性」が劣ることを認めてはならない。
○障がいに垣根はないから、重度心身障がい児、医療的ケア児支援も積極的に行う。
注)教育基本法第1条
(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(本文)
1 放課後や長期休業中の成長、発達を担う放課後等デイサービス
2012年(平成24年)に、障害児の放課後の居場所として創設された放課後等デイサービスは、これまでのわずか6年の期間で、事業所数、利用者数、共に約4〜5倍になるなど、全国で急増しました。
放課後や長期にわたる夏期休暇は「親子ともども地獄です」という言葉は、20年以上前に障害児の放課後実態調査をした際に、保護者が実際に自由記述欄に記した言葉です。
今とは比較にならないほど、定型発達に対する放課後活動(部活動や学習塾)が盛んな中で、障害児だけが取り残され、孤立し、活動する場が整備されてきませんでした。
私たちのように、その時代に「ボランティア」として活動してきた経験がある人なら、まさに手弁当で行ってきた放課後や長期休業中の成長、発達を担う取り組みに対して、公費が支払われるのだから、今はまさに夢のような時代です。
2 障害を「適応の問題」として捉える現代だからこそ、放課後は重要な療育の場となる
放課後等デイサービスの場が十二分に普及し、場の確保が叶った今、この状態を後退させてはならないと思っている元「ボランティア」も多いでしょう。この時代の「ボランティア」たちは、ノーマライゼーション、インテグレーションなどの高い志に心酔していたから、放課後をその実現の場として捉え、「彼らが一人で街を歩いたり、公共交通機関を使って移動する」ことや、「学童保育や学習塾、地域の公的活動に参加させる」ことに熱心に取り組みました。
そのためには、民間のバス会社に連絡して「乗り降りの際に,少しだけ待って欲しい」と依頼して了承されたり、いわゆる発達に凸凹のある子どもを中心とした学習塾を主宰したりしていたのです。もうお気づきだと思いますが、これらが、長い間の訴えによって、制度化されたのです。
3 放課後等デイサービスとは
児童福祉法第六条の二の二の4により、「放課後等デイサービスとは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。」と定められました。
主に6歳から18歳の障害のある児童を対象として、放課後や夏休み等長期休業日に生活能力向上のための訓練および社会との交流促進等を継続的に提供し。1か月の利用日数は施設と保護者が相談した上で自治体が決定します。利用に際して療育手帳や身体障害者手帳は必須ではないため、学習障害等の児童も利用しやすい利点が多くあったのです。
主に6歳から18歳の障害のある児童を対象として、放課後や夏休み等長期休業日に生活能力向上のための訓練および社会との交流促進等を継続的に提供し。1か月の利用日数は施設と保護者が相談した上で自治体が決定します。利用に際して療育手帳や身体障害者手帳は必須ではないため、学習障害等の児童も利用しやすい利点が多くあったのです。
月額の利用料は原則として1割が自己負担で、残りのうち国が2分の1負担、都道府県と基礎自治体が各4分の1を負担します(所得により上限があり、自治体独自の補助を設けている場合もある)。
4 放課後等デイサービスの見直しが立て続けに求められている
○平成29年4月からの見直しの概要(厚労省から引用)
1.指定基準等の見直しによる対応【平成29年4月施行】
(1)障害児支援等の経験者の配置 ○児童発達支援管理責任者の資格要件の見直し(告示の改正) 現行の実務要件に保育所等の児童福祉に関する経験を追加し、障害児・児童・障害者 の支援の経験(3年以上)を必須化する。 ※既存の事業所は1年間の経過措置
○人員配置基準の見直し(基準省令の改正) 人員配置基準上配置すべき職員を「指導員又は保育士」から「児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者*に見直し、そのうち、児童指導員又は保育士を半数以上配置することとする。 *2年以上障害福祉サービス事業に従事した者 ※既存の事業所は1年間の経過措置 (2)放課後等デイサービスガイドラインの遵守及び自己評価結果公表の義務付け ○運営基準の見直し(基準省令の改正) 運営基準において、放課後等デイサービスガイドラインの内容に沿った評価項目を規定し、それに基づいた評価を行うことを義務付ける。 質の評価及び改善の内容をおおむね1年に1回以上公表しなければならない旨規定 2.その他の対応【平成29年4月〜】
○情報公表の先行実施 指定放課後等デイサービス事業者は支援の提供を開始するとき、支援内容(タイムスケジュール等)、BS(貸借対 照表)やPL(損益計算書)などの財務諸表等の情報を都道府県等に提供し、事業所のHP等で公表に努めること。 都道府県等は事業者に対して、支援内容や人員配置(職員の資格等)、財務諸表等の公表をすることを促すこと。 |
5 放課後等デイサービスと学童保育は違う
放課後等デイサービスは、様々な定義が散見されますが、「本人への療育」、「保護者への子育てに関する助言」、「社会資源(障害児も通える活動場所)への支援」、の三本柱であるということができます。学童保育の、健康管理、安全確保、情緒の安定等とは一線を画し、放課後等デイサービスの三本柱の内の「社会資源への支援」の中に、学童保育が入るとさえ考えています。
また、放課後等デイサービスで付加的に行われていて、ニーズも高い「送迎サービス」については、現在のところ「障害児の自立能力の獲得を妨げないように配慮する」に留められていますが、今のように1時間以上も自家用車に乗せてドアツードアで送迎するようなことが継続されれば、スクールバスによる弊害以上に自立的な移動の獲得が阻まれることは間違いありません。障害がある子どもが公的な機関を使って移動することが、社会自立において重要なことであると再認識したいです。
6 いよいよ真価が問われる
平成30年度から実施される報酬改訂により、ほとんどの事業所が以前より低い報酬区分になって、減収となることが予想されており、放課後等デイサービス事業者の真価が問われる時期に至っています。これまで述べてきたように,放課後や長期休暇の充実という「悲願」は、場の確保だけでなく、定型発達と何ら変わらない「生活能力の向上」や「社会性を培う」、内容(質)の問題に向かうことを、同じ志を持つ方々と共に誓いたいと思います。
写真1) 療育の結果、靴を揃える習慣がみについています
写真2)療育で社会性を培い、丁寧に商品の説明ができます
写真3)自立的な移動ができれば約60分程度の近所に移動して「お届け物」ができます
7 医療的ニーズへの対応(時数の関係により割愛)
これまで放課後等デイサービスでは、医療的ニーズも同等に利用できる制度であったものの、受け入れには看護師等の配置が必要で、かつマンツーマンに近くなるため、事業として採算が合わなくなるため断念した事業所が多かったのが現状でした。その対策としてと思われますが、平成30年度からの報酬改定により障害程度区分が本格的に導入されます。現段階での「指標該当チェックシート」を見る限り、点数の合計が13点以上である障害児の数が、障害児全体の数の50%以上である事業所は、ほとんど無いと考えられます。
一方で、看護職員加配加算、医療連携体制加算、指導員加配加算の半減など、より重度の障害のあるお子さんへの対応が方針として示されているのです。
いずれにしても、全国で15,000人以上の医療的ニーズのあるお子さんへのサポートは必須です。平成30年度末までに、各都道府県、各圏域及び各市町村において、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の関係機関等が連携を図るための協議の場を設けることも求められているのですから、重度心身障がい児、医療的ケア児支援も積極的に検討したいと思います。