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たすく代表日記
2018.09.30カテゴリー:未分類
トータルな療育アプローチ【たすく代表のブログ】#発達障害 #特別支援 #愛着 #アタッチメント
「プログラムは一人ひとりに応じて」 脳科学、構音などの器官、心、身体、行動、認知、物的環境、そして人的環境。トータルなアプローチこそ、療育に大切な視点です。複雑ですがそれを使いこなせなければ、子どもの育ちの手助けとなりません。
療育する場所は増えたのかもしれない。でも先人たちが追究したのは,科学的な根拠に基づく,正しい子育てなのです。また、我が第二の故郷で勉強したいと思っています。
北海道教育大学函館校養護学校教員養成課程に合格した時、はじめて養護学校教員というコースがあると知った私ですが、そこから北海道教育大学大学院に進み、北海道函館盲学校に初任で赴任しました。自他共に認める北海道“愛”の人間です。ホークスファンなので、ファイターズだけ認められませんが(決定的かな?)。
今回の北海道のジェイスケップ研究会は、Bowlby,Jhonや、Harlow,H.Fなどによる愛着行動とアタッチメントの研究をレビューしました。有名なアカゲザルの実験は、YouTubeの普及のお陰でじっくり見ることができます。ハーロー先生が実際に話しているシーンが見られるわけですから勉強したい人ならいつでも情報が取れる時代です。
ハーロー先生は生まれたばかりのアカゲザルの子どもを母親から引き離し、ひとつは針金でできたお母さん人形で、もうひとつは温かい布のお母さん人形の、二種類の母親代わりの人形で育てました。 針金のお母さんには哺乳瓶が取り付けられています。子どもは栄養を与えてくれる存在に愛着を示すと考えられてきましたが、アカゲザルの子どもたちは、明らかに布のお母さんを好んだのです。小ザルはお腹が空くと針金のお母さんからミルクを飲みますが、すぐに布のお母さんのところに行きます。 また、音の出るびっくりするようなおもちゃを飼育小屋に入れると、小ザルは怖がって布のお母さんにしがみつきます。ハーロー先生はこうした実験から、愛着はミルクをもらうという理由だけで生じるのでは無く、「接触の快適さがなににもまして重要だ」、つまりスキンシップによって形成されるのだと考えました。スキンシップによって安心感を得ることができた小猿は、新しい環境や対象を探索することにもチャレンジしたのです。 ただしこの実験には関係性の問題の課題がありました。ハーローは布の代理母によって正常な愛着行動の形成が成し遂げられる考えたのですが、実際にはアカゲザルは、成長とともに自分を傷つけたり、仲間と付き合えないといった様々な問題を見せました。言い換えれば、布だけで動きもしない、アイコンタクトもしない、体温も感じない,嗅覚も刺激しないなど、無機質な代替えでは上手くいかないことが明らかにもなりました。 ハーローのこの実験は動物への倫理上の虐待にあたるという批判もあり、アメリカで動物実験の際の倫理規定が定められるきっかけともなったといわれています。 今回は、このような実験心理学からレビューし、現在の愛着行動の考え方、アンチテーゼなどを踏まえて、それでも愛着行動は大切で、愛着行動とアタッチメントの子育て時の観点をもとう、何らかの心理的リスクを抱えてしまうことを避けようというワークショップをしました。 愛着障害とは、母親などの養育者との愛着関係がうまく築くことができず、人間関係や情緒面の問題や「生きづらさ」が生じるような状態です。乳幼児期に養育者といい愛着をもつことができないと、人が怖くて心を開けない、見捨てられるのが不安でしがみついてしまうといった傾向が表れることがあります ICD-10という世界保健機構(WHO)が作成した「精神・行動の障害」のマニュアルでは、愛着障害は次のように定義されています。
•「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」
5歳までに発症し、小児の対人関係のパターンが持続的に異常を示すことが特徴であり、その異常は、情動障害を伴い、周囲の変化に反応したものである(例:恐れや過度の警戒、同年代の子どもとの対人交流の乏しさ、自分自身や他人への攻撃性、みじめさ、ある例では成長不全)。この症候群は、両親によるひどい無視、虐待、または深刻な養育過誤の直接的な結果として起こるとみなされている。
•「脱抑制型愛着障害」
5歳までに発症し、周囲の環境が著しく変化しても持続する傾向を示す、異常な社会的機能の特殊なパターンである。たとえば、誰にでも無差別に愛着行動を示したり、注意を引こうとして見境なく親しげな振舞いをするが、仲間と強調した対人交流は乏しく、環境によっては情動障害や行動障害を伴ったりする。ICD-10「精神・行動の障害」マニュアル (医学書院,1994年刊)