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2023.12.12カテゴリー:著者:鹿島真知子

Simply go onが支えるこどもの育ち

こんにちは、たすくの鹿島です。
先日、年に一度の大好きな実践発表会「教材マスターの集いMAX」がありました。
北は札幌から、南は鹿児島までのたすくのご家族の実践が見られる貴重な1日でした。

横浜教室からは、
「意思決定につながる言葉探し〜生活経験は自分の言葉が見つかる宝庫〜」をテーマに、
高校1年生のAくんの幼児期から今までの言葉の育ちを振り返りました。

幼児期は、昼夜逆転。
嫌なことに対しては30分でも1時間でもギャン泣き。
溢れないようにするためにAくんのやりたい放題に付き合って、お母さん曰く「王様と奴隷」のような日々だったそうです。

1歳半の頃、友達からの指摘をきっかけに、ネットで調べると、
・目が合わない
・キラキラしたものが好き
・車はタイヤを回して見つめている
・名前を呼んでも振り向かない
などなど・・・
あらゆる項目が当てはまっていて、号泣したとおっしゃっていました。
7〜8歳までは意思表示がクレーンのみだったAくんだったので、お父さんが「Aくんと喋れるようになりたい」とアセスメントのインテーク用紙に記入していたのを見て、お母さんはたいそう驚いたそうです。
そんなの無理に決まってる!!と思ったのが療育の始まりの頃でした。

たすくでは、年に一回アセスメントを実施します。
その度に、Aくんの特性を分析し、1年間で重点的に取り組む課題を精査します。
・視覚的情報処理が得意
・聴覚的把持力が弱い
・同時処理様式が得意
・手続的な記憶の仕方が得意
これら、Aくんの特性に合わせた学び方を年齢に応じて提案してきました。

私たちは分析したり提案したりしてきましたが、実際、療育的関わりを毎日続けて来られたのはご家族です。

ご家族は、Aくんにたくさんの経験をする機会を設け、そして、その経験の中からもっとほしい、もういらない、楽しいね、美味しいね、悲しいね、いろんな感情を言語化して見せて聞かせてきました。

会話が成り立たない頃から、視線が合わないAくんに、Aくんがキャッチしやすい方法を工夫しながら、言葉を入力し続けて来たのです。

そして、高1の秋、拒否が苦手だったAくんは、「ジャンパー着る?」と聞かれたときに「着ません」と言い、その夜、「かぼちゃ食べる?」に「かぼちゃいりません」と言ったと、お母さんは満面の笑みで報告してくださいました。

今、Aくんは、イラストを見て、その場面を表す文を書く練習をしています。
ぎゅっと目を瞑って注射を受けているイラストを見て、こんな文を書きました。
 花子さんは、注射を 打つのが 辛かったです。
 しかし、花子さんは、我慢して 注射を 打ってもらいました。
「我慢して」の部分は、選択肢から選びましたが、そのほかは自ら書いています。

つい先日は買ったチーズケーキを袋の底に入れて持ち帰ってボロボロになってしまったのを見て「崩れちゃった」と言い、
そのチーズケーキを食べて「甘酸っぱい」と言ったと、これまたお母さんからの、嬉しい報告がありました。

言葉を自分の思いを伝えるものとして操ることができるようになるには、途方もない道のりがあります。
その長い道のりを、何年もかけて、一歩一歩、歩み続けるのは容易なことではありません。

しかし今、Aくんは、頭にたまっている言葉を、自分の思いを表すために引っ張り出し、伝えようとしています。
自信がなく、小声で呟いて周りの反応を確かめていたAくんが、はっきりと自信のある声で話すことも増えて来ました。

Aくんの育ちを支えているものは、「奇跡の人」のサリバン先生の言葉のように、
simply go on
ただ続けるだけ。
最も難しく、最も尊いこの偉業をAさんのご家族は実践してこられたのです。

そして、もう一つ、お母さんは最後に大切なことを教えてくださました。
「孤独にならない、一人にならない努力をしよう」
これが、Aさんの「simply go on」を支えて来たのでしょう。

冒頭で私は、この「教材マスターの集いMAX」を「大好きな実践発表会」とお伝えしました。
それは、子どもの可能性を信じてアプローチし続けて来たご家族の深い愛をあらためて感じることができるからだと、あらためて感じました。
大袈裟ではなく、生きるエネルギーをたくさんいただける「教材マスターの集いMAX」は、やっぱり大好きです。

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鹿島真知子

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