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2023.06.24カテゴリー:著者:鹿島真知子

「かくれことば」の存在

少し汗ばむ日も増えてきましたね。
今回は、夏が大好きで、ちょっとテンションが上がっている鹿島から療育の1シーンをお送りいたします。

年少さんから通ってくださっているAちゃんは、小4になりました。
Aちゃんは、小さいときから、自分の周りに起きていることの解釈に苦労してきました。
言葉を大きく受け止めてしまったり、
表情を読み間違えてしまったり・・・
その度に不安や恐怖に苛まれて苦しんでいました。

Aちゃんのお母さんは、いつも素敵な笑顔のお母さんです。
でも、どんなに明るい人でも、ずっと笑ってはいられませんよね。
そんなお母さんの顔を見て「お母さん、怒ってる?」と聞いて不安になってしまうAさんに、お母さんは「これは、真顔というのよ」と教えていたこともありました。

そんなAちゃんとは、ときどき、人間関係の解釈について学ぶワークをしています。
先日は、クラスメイトと二人で給食のご飯をよそっていたら、ご飯が足りなくなってしまったという場面を取り上げました。
学校あるあるですよね!
その場にいた人たちの気持ちについて、考えるシーンでの出来事です。

ご飯係の二人、ご飯が回ってこなかった子、ご飯をもらった周りの子、先生、それぞれの気持ちを想像してみました。

「ちゃんとみんなが食べられるようによそわなくちゃダメじゃない!」と言う先生の気持ちは?の問いに、Aちゃんは「もっとしっかりしなさいよー!と思ってる」と答えたのですが、「それと、まあ、自分なりに頑張りましたね、とも思っている」と付け加えました。

「どうしてそう思ったの?」と聞くと、
「これはかくれことばなの。言葉にしないけれど心の中で思っていることもあるんだよ」
と教えてくれました。

その言葉に、お母さんと私は目をまん丸にして見合ってしまいました。
表情を読み間違えて困っていたAちゃんが「かくれことば」の存在を語っている!!
「かくれことばって言うんだね!」「よく知ってるね〜!!」「誰が教えてくれたの?」「本で読んだの?」
興奮気味に聞く大人たちに「いつ知ったかは忘れちゃった」と答えるAちゃん。

今まで、Aちゃんが帰宅した途端に大泣きした時、お母さんは、じっくりAちゃんの話を聞いて、その場面の絵を描き、喋っている言葉と、心の言葉を吹き出しで表して出来事を一緒に紐解いてきました。
その積み重ねから、「かくれことば」の存在を意識し始め、どこかで「かくれことば」と言う言葉を聞き、ピンときたのではないでしょうか。

渦中にいるときは、まだ、心乱れてしまうこともありますが、
落ち着いて考えることができる場面では、さまざま視点から考える力がついてきたAちゃん。
これからも、いろんな場面に悩むことはあると思いますが、
さらに経験を積み、解釈を広げていくことができそうです。

「かくれことば」について語ってくれたAちゃんの少し誇らしげな表情が、たまらなく素敵でした!!

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