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2025.04.23カテゴリー:著者:鹿島真知子

コミュニケーションとスケジュールにコツコツ取り組むことで生まれた意思決定の力

こんにちは

桜が散ると新緑の季節になりますね。
桜の季節も好きだけど、この時期の植物たちの変化も好きだな〜とワクワクしているたすくの鹿島です。

今回は、小学校1年生から私たちの教室に通ってくれているAくんのお母さんから聞いた素敵なエピソードをお届けします。

ご両親は、Aくんが産まれたとき、21トリソミーとたくさんの臓器の不全をお医者様から告げられました。
小さなからだにたくさんの管をつけられて、一生懸命生きているAくんを祈る気持ちで見守っていたと、入会時に話されていたことが昨日のことのように思い出されます。
そのAくんは、この春、中学生になりました。

Aくんは、入会当時、大変視野が狭く、姿勢も安定しないため、「見る」ことと「聞く」ことを一致させるのが難しい状況でした。
そこで、3cm×3cmの絵カードを使ったスケジュール提示とコミュニケーションの表出を毎日の生活に取り入れました。

この大きさの絵カードなら、一つずつ見比べることができ、大好きなクイーンの曲を選ぶことができるようになりました。
そう。Aくんはとても耳がよく、音楽のセンスが抜群に良いのです。
数多ある音楽から、クイーンを選んだことに才能を感じました✨

お母さんは、お話ブックの中に、Aくんの大好きな曲をどんどん増やしていきました。
そして、Aくんは、好きなカードがいっぱい貼ってあるお話ブックと、好きな音楽を聞く時間が保証されたスケジュールをマイツールとして持ち歩き、何度も見返して日々を過ごしてきました。

Aくんのスケジュールは、活動とご褒美が程よく組み込まれていて、勉強や運動やお手伝いをした後はご褒美タイムが提示されています。
そして、ご褒美の内容は自分で選んで設定しています。
最近は、音楽鑑賞だったり、YouTubeでの動画鑑賞を選ぶことが多いようです。

コミュニケーションは、お話ブックを使って学んできました。
はじめは一枚のカードを手渡すことで単語での表出を学び、言葉が溜まってきたら構文を学びました。
今では主語、補語、目的語、述語から成る四語文の、構文を作って伝えてくれます。
カードがなくても言えることも増えてきましたが、カードは、発音の不明瞭さを補う役割も担っています。

そして、最近の出来事です。
Aくんのお母さんが「聞いてください」とおかしくてたまらないという表情で語ってくれたのは…

スケジュール内にあるはずのご褒美カードが貼られていないことに気づいたAくんは、何か言いたげな様子だったけれど、お母さんは家事をしていたので知らんぷりしていました。
すると、Aくんはお母さんに近づき、「勉強と」「運動」「頑張った」「アイパッド」と訴えた!というエピソードでした。

これぞ、意思決定だ!と私の心は震えました。

Aくんは、スケジュールとコミュニケーションをコツコツ学んで自ら活用できるものにしてきました。
だからこそ、自分の思いを気づいていない相手(本当は気づいていたけれど知らんぷりしていたようですが😊)に主張することができたのです。

他者に気づいてもらえないことや、他者から見て「たいしたことない」と思われることでも、本人にとっては重大なこともたくさんあります。
しかし、それを伝える術がないと、怒ったり、暴れたり、諦めたり…という結果を招くことが少なくありません。
これはとても不幸なことです。

だからこそ、本人に合った形でのスケジュール管理とコミュニケーションの表出をコツコツ学んでいくことは、自分らしい生活を営むためにたいへん重要なことだとあらためて感じました。

これが、意思決定の力を育てるということなんだ!と実感したエピソードでした。

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鹿島真知子

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