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2025.03.20カテゴリー:著者:鹿島真知子

コミュニケーションの育ちと心理的安定〜学びの一歩目は「SOUL」〜

こんにちは。

暖かくなったと思ったら真冬のような寒さが戻ってきて、今年の三寒四温は厳しすぎるとぼやいている、たすくの鹿島です😅

先日、コミュニケーションの育ちと心理との関係について考えさせられることがありました。

いつも通り元気に来室した小5男子Aくんが、教室で泣いている幼児さんを見かけました。
そのときの彼と私の会話です。

Aくん:僕もあんなとき、あったよね〜。
私:覚えてるんだね。あの頃、どうして泣いてたか覚えてる?
Aくん:言葉がうまく喋れなかったからだよ。
私:そうなんだ〜。今はおしゃべりが上手になったから泣かなくなったの?
Aくん:(自慢げに)そうそう!

保育園の頃から通ってきてくれていたAくんは、来室のたびに泣いて暴れていた記憶があります。
いろんな思いがあったけれど、表現できず、「そうじゃないんだ〜」と言う怒りの表現だったように思います。

Aくんだけではありません。
常に奇声を上げていたBくんも、お話ができるようになった今、全く奇声を上げなくなりました。

「泣く」「暴れる」という行動は、思いを伝えられないもどかしさの表現だと考えると、コミュニケーションの困難による辛さは、計り知れないと思います。
もし、自分が今、コミュニケーションの方法を知らない世界に行ったらどうなるかな・・・
大人になった今だからこそ、泣いたり暴れたりはしないかもしれませんが、「もういいや」と投げやりになったり、気持ちの置き場がなくて精神的におかしくなったりしてしまいそうです。

誰もが、生まれ落ちた時は言葉を理解しませんが、生まれたその時から、コミュニケーションの育ちは始まります。

生まれたての赤ちゃんが、寝ながらにっこりと可愛い笑顔を見せてくれると、私たちはとても幸せな気持ちになって、思わず赤ちゃんに声を掛けたり、撫でたりしてしまいます。
実は、生後2ヶ月くらいまで見られるこの微笑は、新生児微笑(生理的微笑)と言われ、口角が上がって笑っているような表情になる反射運動なのです。
笑っているわけではないのですね。
でも、この表情に周りの人が反応することで、赤ちゃんは人との関わりを感じとり、コミュニケーションの育ちが始まるのです。

そして、口腔機能が育っていくと、喃語が始まります。
このときも、何か伝えたくて声を出しているのではないのですが、赤ちゃんが「あ〜あ〜」と言うと、つい「はあい」とか「なあに」とか、反応したくなってしまいますね。
この周りの反応を得て、やりとりの経験を少しずつ積み重ねていくのです。

その後、言葉の獲得までには、かなり複雑なステップがあります。
どのステップにも、共通するのは、子どもの発信に対する周りの反応によって、学びが深まっていくと言うことです。

私は、言葉の獲得に向けて、インリアルアプローチが最も重要であると考えています。
画像の本は、1994年に初版発行ですが、今は絶版になっており、古本を購入しようとしてもかなり高額になっているものです😆

なかでも、この本の中に書かれている「SOUL」が最も大切だと考えています。
S:Silent(静かに見守る)
O:Observation(よく観察する)
U:Understanding(深く理解する)
L:Listening(耳を傾ける。このとき、言葉だけでなく、子どもの行動、表情などあらゆるサインに耳を傾けます)

泣いたり、暴れたり、物を投げたり・・・
お子さんの発信に対して、私たちは、つい道徳的に望ましい行動を求めて、「〜しなさい」とか、「〜してはいけない」とか言ってしまいがちです。それは、行動に着目して、その行動をなくしてほしいと思うからです。その行動を起こしている原因に目を向けることなく。しかし、それでは解決に繋がらないことが少なくありません。原因に目を向け、対応することが行動の変容への一番の近道なのです。

お子さんが何を感じてそのような状況になったのかを知るための教えが「SOUL」です。

そのとき、お子さんが言いたかった言葉を感じ取ることができたときは、その言葉をまず聞かせてあげることが大切です。
「嫌だったね」
「もっとやりたかったね」

その言葉を聞いただけで、行動が和らぐ子も少なくありません。
Aくんも、Bくんも、そこからのスタートでした。

嫌でもやらなくてはいけないとか、やりたくてもできないことは世の中にたくさんあります。
そのことも知ってもらわなければいけませんが、
まずは、自分の気持ちを受け取ってくれる世の中であることを感じることができるのが先で、それが叶った上での行動様式の学びになると考えています。

先日、5回目のアセスメントを受けたCくんは、この一年でコミュニケーション力がぐんと伸びました。
それと同時に、心理的にも安定し、失敗が大嫌いなCくんが「無理だよ・・・」と呟きながらもチャレンジする姿に感動しました。

コミュニケーションの育ちは、心の安定にもつながるのだと感じています。そして、言葉が操れるって、どんなに幸せなことなんだろうと思います。
だからこそ、子どもたちの行動の奥にある気持ちに向き合う「SOUL」をコミュニケーションの学びの一歩目として大切にしていきたいと思っています。





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