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たすくからのお知らせ

自分のことを伝えられるようになり、文章の読解力もアップした

2012年11月23日 金曜日 / カテゴリ:家庭の療育体験談

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うりくんの紹介

療育を始めてから5年経ち,うりくんは,小学校4年生になりました。毎年受検しているJ☆sKepsTMアセスメントは,3.1点まで向上しています。幼児期から現在まで,『聞くこと,読むこと,書くこと』にじっくりと取り組んできたうりくん。今では,日常生活での体験を元にした問題文を作って,「どこで?,誰が?,何を?」の内容を読み取ることができるようになってきました。

小さい頃のうりくん

小さいころのうりくんは,いろいろな活動を自分なりにやりたい思いが強い,電車が大好きな男の子でした。 絵本が大好きなお母さんは,熱心に絵本を読み聞かせようとしていました。うりくんは,電車以外になかなか関心を示してくれません。日常生活では,嫌な体験や失敗した経験をすると忘れられずに,パニックを起こしたりすることもありました。

たすくと出会ったとき

  たすくとうりくんとの出会いは,年長さんの夏です。ご両親は「小学校への就学をどうしようか?」と悩まれている時期でした。当時のJ☆sKepアセスメントは,1.5点。学習態勢を維持できなかったり,見通しが持てずに離席したり苦労していました。そこで,イラストを用いたオリジナルのスケジュール帳とコミュニケーションブックを作り,大人との二項関係を築くことを重視した療育を進めていきました。

うりくんの様子

うりくんのスライド

子どもの様子ですが,J☆sKepsTMは,入会時1.5点でした。現在は3.1点になりました。年長の時は,こちらの働きかけに対して,見ていないし,聞いていないし,その場にいられないという状況でした。

  小1の時は,覚えたフレーズを口ずさんでいましたが,同級生からは,「どうして話せないのに読めるの?」と言われていました。また,音読をしているけれど,イメージを持って読んでいるわけではありませんでした。

うりくんのスライド

小1から2年の頃は,5W1Hの質問の意味が分からず,問題が解けませんでした。「誰」って言われても,何のことか分からなかったようです。

  小3の頃は,「どうしたの?」などの会話が成り立ちませんでした。これについては,読解の問題として,今も分からない様子があります。

  本人の様子を見ていると,考えているのか,それともボーっとしているのかが分かりにくいです。そのため,私は,本人の主体性を重視することを意識しています。 しかし,待つことが大事だと分かっていても,私もイライラしてしまうことがあります。そこで,対応策として,ホワイトボードを使って,文字で書いて伝えたり,20秒位待ってから次の指示をしたりするよ うにしています。

うりくんの機能的目標

うりくんのスライド

読書の機能的な目標は,「絵本・小説・漫画・歴史物等を読んで、活動・状態・行動・感情の変化を選択肢から読み取ることが出来る」に取り組んでいます。

療育の実際

絵本の読み聞かせ(年中~年長)

うりくんのスライド

次に,絵本の読み聞かせについて,ご紹介します。初め,私は,耳が聞こえていないと思っていたのですが,検査をしたら聞こえていることが分かりました。そこで,「100册読んで,その中で1冊でもヒットすればいいや」というくらいの気持ちで,一日10~20冊の絵本を読み聞かせました。そうは言っても,彼は見てないし,聞いていないし,その場にいないという 状況だったので,読んだ本の実績を記録することを,母の療育の励みにしていました。何の本を何回読んだかを記録できるWEBサイトがあって,母のモチベーションを維持していました。また,読んだ本のタイルを記入するということも取り組んでいました。

日記(小1~現在)

うりくんのスライド

次に,取り組んだのは日記です。小1から取り組み始めました。読解は,イメージが膨らまず,内容が分かりづらいので,自分が経験したことを文章にすることで,イメージを膨らませて欲しいと思って取り組んでいました。本人は,絵を描くことが好きなので,それを動機付けにして,絵日記形式にしました。

小2の頃は,その日の活動を書いていました。始めは,ホワイトボードに,母が文を書いて,模写をさせていました。次第に,ホワイトボードは,日記を書く際のヒントを書いたり,漢字のヒントを書いたりするようになり,使い方が変っていきました。

うりくんのスライド

  小3の頃からは,メモのスケジュールを手掛かりにして文章を書いていき,最後に,気持ちを書くことに取り組みました。「そして」を使って,複数の文章を書いたり,「!(感嘆符)」の表現を使ったりしながら,文がたくさん書けるようになりました。

読解(小4夏~)

うりくんのスライド

小4になって取り組んだことは,読解です。問題文には,本人の実際の生活場面を使いました。また,「~なので」「~のために」など,出題のパターンが替わると,意味が分からなくなってしまっています。

プリント問題で困っていること

うりくんのスライド

また,実際に療育を進めていく中で,プリント問題で困っていることがありました。それは,質問に対して,口頭で,単語だけで答えてしまうことです。そこで,文末表現の選択肢を使って,「~からです」などの答え方を教えました。また,「~なので」,「のために」など出題のパターンが替わると,内容が読み取りにくいことがありました。

  この他,「いつ」という質問も分かりにくかったです。このような目に見えにくいものや,経験が乏しいものについて,考えることが今後の課題だと思っています。

うりくんのスライド

実際に使った問題をご紹介します。始めは,出題文をそのまま抜き出して書き写せば,答えになるような形式にして,スタートしました。徐々に,問題文から,必要ない文を取り除いて答えるようにしていきました。 質問の文章は,できる限り統一して取り組みました。

自分のことを伝えられるようになり、文章の読解力もアップした

うりくんのスライド

日記を書くことで、日々の活動や気持ちの表現を伝えられるようになってきました。課題としては、話題を深めることは難しいので、今後は自分でテーマを決めて文章を書いたり、内容を深めていけたらいいなと思います。

読解では、5W1Hのパターンが決まった、簡単な問いについては答えられるようになった。いつ、どうしての問いや問題文を読むことが苦手なので、内容のイメージ化を持って、取り組めるようにしたいなと思います。

質疑応答

Q. 本の読み聞かせをしていて,聞いてくれているのかなと感じられた時期はいつ頃ですか?

A. あるとき突然でした.ページを読み飛ばしてしまったときに,「このページを読んでいない」と言われたことで,気づきました.また,自分から好きな本を持ってくるようになり,読んだ内容が頭に入っているんだなと思いました.

Q. 読む場所は決めていたのですか?

A. 母自身がリラックスする場所で,読んでいました.全然,聞いていないので,絵本の開拓をするくらいの気持ちで,続けていました.

日記を書くようになった時期や内容は何ですか?

A. 私は,食べ物日記から始めました.今日を食べたものを書く(単語のみを模写する)ことから始めました.主語や動詞を加えて書き始めたのは,小学校1年生位です.見本の文章を真似させて,見本をフェードアウトしていきました.

Q. 絵日記のイラストは,本人のイメージですか?

A. はい.最初は,自分の顔だけだったのが,少しずつ家族の顔や表情など,広がりが見られるようになっていきました.また,「今日,悲しかったよね」など,フォローをしながら書かせていきました.

Q. 日記で書く分量はどの位ですか?

A. 3~4行です.内容は,活動+気持ちの言葉です. 気持ちの言葉は,カードや選択肢の中から選ばせています.絶対違うだろうという表情も混ぜて呈示するようにしています。

Q. 気持ちの言葉は,何が多いですか?

「楽しかった」が一番多く,「うれしかった」,「面白かった」も,頻度が多いです.最近は,「つらかった」という表現も出てきました.

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